カナダ トレッキング紀行

カナディアンロッキーで日本語ハイキングツアーを主宰する、個人ガイドの田中です。ツアーの様子や日々の遊びの記録。 http://www.ilovewintergreen.com/ お気軽にお問い合わせください

日本帰省 実家の父のこと

父が入院しました。

 
旭川に到着したわずか2日後、父に新しい脳梗塞が見つかり、翌日から検査入院となりました。
 
20〜30代でバリバリの山男だった父は、45歳のときに(33年前)脳梗塞で倒れてます。それ以来、肢体不自由者と認定を受けた、いわゆる障害者。右半身が使えず、歩くことも食べることも書くことも不具合がいっぱい。
 
父がロッキーを歩いたときのブログ記事
 
そして今回、MRI検査の結果、新しい脳梗塞が見つかったんです。
 
僕も知らなかったけど、すぐにぶっ倒れてしまう脳梗塞もあれば、自覚症状のないままチョットずつ進行する脳梗塞もあれば、そのまま消えてしまうものもあるとかで、いろいろなんだそうです。
 
父の場合も、脳の血管が詰まったとはいえ、他の血液がサポートしてくれたお陰で大事には至らず、入院までの数日間も、普段通りに生活していたようです。少しだけ感じていた異変も確実にあったようですが…
 
 
今回の旭川滞在は、10/24〜11/08までの2週間。検査は10日以上かけて行われ、原因と治療方針が決められていくとのこと。状況によっては、僕の旭川滞在も延期せざるを得ないのかな? 「ロッキーの会」は参加しなきゃ。
 
 
旭川滞在中は、料理も調理も出来ない父と、今年も食卓を囲みたく、メニューはどうしようかな って、すごく楽しみにしてました。前半は啓子がいない1週間、後半は啓子が合流しての1週間。
 
今年は、念願だった小樽一泊旅行も実現させようと、ホテルも予約したけど、この現状では次回にお預けです。小樽は、父が高校生のときに過ごした街なんです。
 
父にご飯を作ってあげられたのは日曜日だけ。月曜日を待って病院の外来へ行き、すぐにMRI検査 結果を聞いた夕方からは、慌ただしく入院の準備。夕食を食べ終えたら2200を過ぎちゃってました(笑) 偶然にも立ち寄ってくれた従姉妹が軽快に手伝ってくれて、マジ助かりましたよ。男だけじゃー、手際悪すぎですから。
 
入院する火曜日の朝、父はいつも自分で作る、4年以上もワンパターンの朝食を作ろうともせず、ぼんやりしてました。自分の置かれた現状にとてもショックを受けてしまったようです。
 
父の作るワンパターン朝食は、3年前に亡くなった母が、自分の死期を悟ってから、せめて朝ごはんだけはひとりで作れるようにって伝えたものです。とはいえ、内容はいたってシンプル。トーストやサラダ、バナナ、ヨーグルトなど、火を通したものはひとつもありません(笑)
 
味噌汁だってカレーライスだって、一時は作れていたんだけど、33年前の脳梗塞で右手が思うように動かせない父にとっては、とても苦痛な作業だったんですね。冷蔵庫を見れば、彼の普段の食生活が伺えます。
 
 
「朝ご飯、作るからね。
味噌汁も作ろうか?」の問いに、
 
「うん、いいなぁ…
やっぱり、あったかいものがいいよなぁ…」
 
その言葉に、僕は涙が止まりませんでした。
 
たかが味噌汁で、
そんなに嬉しそうな顔するなよ…
 
そう心で言いながら、
涙をこらえるのに精一杯。
 
「また作るから、また一緒に食べような」
 
おかわりまでしてくれた父は、
その日からパジャマ姿です。
 
本人がいちばんショックを受けてるみたいで、見ていてとても可哀想。残念だろうね、悔しいだろうね。
 
 
脳梗塞の影響なのか、父の言語と記憶力も明らかに変化が見えます。確実に日毎に。
 
味噌汁、また一緒に食べようね! 約束だよ。

 

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10/27 父が入院する日の朝。僕の作った味噌汁をとても喜んでくれた。