カナダ トレッキング紀行

カナディアンロッキーで日本語ハイキングツアーを主宰する、個人ガイドの田中です。ツアーの様子や日々の遊びの記録。 http://www.ilovewintergreen.com/ お気軽にお問い合わせください

母が抱いた想いを綴ります


アウトドアWebマガジン、「.HYAKKEI」へ寄稿する
第3回の記事を書き終えました。あとは画像を選んで送るだけ。

「モレーンレイクからラーチバレー&センチネルパス」の
魅力を綴ってみました。いつごろ掲載になるかな?

ブログやマガジンへの投稿記事を読んでくれた皆さんから、
田中さんは文才があるんですね とか言ってもらえて、
嬉しいような苦しいような。

僕は自分の文章が嫌いなんですよ。いや、自信がないのかな?
誰かのコラムを読むたびに、その人が羨ましく思えてくる。

あ”~、こんな文章、オレにも書けたらなぁ・・・・

でも、客観的に見てくれる周りの人が、
僕の文章に共感を持ってくれるのなら、
それは間違いなく、3年前に亡くなった母のお陰です。



こんばんわ、『遥かカナダ(彼方)を "身近なカナダ" に
Wintergreen の田中です。 http://www.ilovewintergreen.com/


夕食が終わってこれから呑み!って時間だけど、
明日から1泊のキャンプなので、
以前から書きたかった母のことを綴ります。

いや、誰にも言えずに抱いていた想いを綴らせてください。

電車の中や会社で読んでる人は、涙腺崩壊に注意ですよ。
僕も書きながら、鼻水じゅるじゅるになる自信あります(笑)



母が託した想いならば、

読書好きの母の影響なのか願いか、
小さいころから僕の側には常に活字がありました。

絵本、百科事典、文庫本、
本を読むのが当たり前の環境を母が作ってくれたようです。

母は9年前に肺がんを患い、
自分の死と向き合うようになってから短歌を詠むようになりました。

もともと母の家系は文化的・芸術的センスに長けてるみたいで、

叔父は川柳や俳句、
叔母は短歌、
30年以上も前に絵画の勉強でフランスへ渡った叔父もいます。
祖母に至っては独自の節をつけながら、
石川啄木の歌を口ずさむような人だったらしいです。

短歌の才能を高く評価され、数々の賞をいただいた母は、
自分が続けたかったことを息子に託したかったのかもしれません。

他にいないから、
とりあえず、こいつにしとこうか って感じだったのかも(笑)



夫への想い

過去ブログにも書いたことあるけど、
癌との付き合いを経て、人には漏らせない胸中や揺れる心情を、
母の歌に垣間見た、僕の好きな歌を記載させてください。


『カーテンに 星降る病舎の静けさに 
     ひとり夕餉(ゆうげ)の夫を思えり』

夕食、ちゃんと食べてるのかな? なにを食べてるのかな?
手、ベタベタにして食べちゃってるんじゃないだろうか?
私がいたら、もっとあれこれ出来たのに

『口数の 少なき夫の見舞う日は 
  臥せる(ふせる)ベッドの軋みて(きしみて)かなし』

口べたの父は、お酒が入る以外は多くを語りません。
それに対して母は、すべてが饒舌&毒舌(笑)

毎日病院に通っても母が喜ぶ話題がない父は、
何を思って通ったのでしょうか?

夫婦って無言のままでも会話が出来るんでしょうね、きっと。
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『口づけを 交わした記憶も遠のきて  
          七十の路を共に越えゆく 』


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この歌は母が亡くなってから僕が目にしたものです。
衝撃でしたよ。ガッツーン! ってきました。

淡い思い出よりも、
これからも一緒に生きてやる、
まだまだふたりで っていう強い気持ちを感じます。



遥か彼方の息子への想い

 

『ロッキーの 山に魅せられ住みし息(こ)よ 
  母には遠き異国の地なり』

母にはいつまで経っても、
遥かカナダ(彼方)だったんだねぇ・・・


『送り来て 息子の振る手さえ曇りいて
     又の日あるや病む母ゆえに

亡くなる1年前に帰省したときのこの写真が、
一緒に過ごした最後の時間になってしまいました。
旭川駅の改札、去っていく息子夫婦が涙で見えなくなっていたようです。
又の日は来なかったね・・・・
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生きる勇気との葛藤

いつか僕も死と向き合うときが来るよね。
そのときに、どんな想いを抱くのだろう?

弱った身体と心に何度も負けて、
それでもなお生きていたいと何度も上を向き、
葛藤を繰り返し過ごした、母の日々を伺い知ることができます。

『 病むことと 生きることとの重たさを  
          計りにかける春の夕暮れ 』


深い歌です・・・・
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僕の時計もまもなく24:00になろうとしてます。
おやすみなさい。




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